1.はじめに
「ワクチンは、新型コロナウイルスの流行収束に効果が期待されている」
と言われていますが、本当でしょうか。
とはいえ、
・そもそもなぜ、ワクチン接種がコロナ収束の救世主のように言われているのか
・ワクチンを接種した後の副反応は大丈夫なのか
と疑問に感じる方も多いと思います。
ワクチン接種のメリットは、感染の予防と発症の予防と言われています。
その結果、新型コロナウイルス感染症のまん延を防止する効果が期待されています。
一方、デメリットも考慮する必要があります。
代表的なデメリットは、副反応。
ワクチン接種後すぐに現れる副反応もありますが、10年後、20年後も見据える必要があります。
他にも効果の持続期間が不明なこと、ワクチンに含まれる成分の影響などが挙げられます。
このコラムでは、新型コロナワクチンに関する情報を整理してお伝えします。
ワクチン接種が新型コロナの収束にどのような効果があるのか、について理解が深まると思いますので、ご一読ください。
2.ワクチンに期待される効果
ワクチンは、ウイルスや細菌を何らかの方法で弱毒化、もしくは無毒化したものを投与(接種)することにより、体内で免疫を誘導します。
ワクチン接種後、免疫ができることにより、同じウイルスや細菌が体に侵入しても、免疫がすぐに攻撃するためウイルスの増殖を抑えることが期待されます。
増殖を抑えることができれば、発熱や肺炎など感染症の発症を予防する効果が期待できます。
厚生労働省によると、今回の新型コロナウイルス感染症に係る予防接種としてのワクチン接種は、
「新型コロナウイルス感染症による死亡者や重症者の発生を出来る限り減らし、結果として新型コロナウイルス感染症のまん延の防止を図ることを目的」
としています。
3.新型コロナワクチン接種の優先対象
新型コロナワクチンの接種は公費対象となり、希望者は無料で接種可能です。
本ワクチンは16歳以上の方が対象です。
優先接種対象者は下記にあたる方々です。コロナワクチンの接種は優先接種対象者の方々から順に実施されます。
(1)医療従事者等
(2)高齢者(令和3年度中に65歳に達する、昭和32年4月1日以前に生まれた方)
(3)高齢者以外で基礎疾患を有する方や高齢者施設等で従事されている方
(4)それ以外の方
接種は 3週間の間隔で2回を受けることになります。
4.他の予防接種と同時接種は可能?
他のワクチンを同時期に接種する場合については、
『前後に他の予防接種を行う場合においては、原則として13日以上の間隔をおくこととし、他の予防接種を同時に同一の接種対象者に対して行わないこと』
という見解が出されています。
例として、高齢者肺炎球菌ワクチンと、新型コロナワクチンの両方を受ける方の接種スケジュール例をご紹介しましょう。
【例1】 新型コロナワクチンを先に受ける場合
新型コロナワクチン(ファイザー社製)1回目接種
↓ 3週間あける
新型コロナワクチン(ファイザー社製)2回目接種
↓ 2週間以上あける
高齢者肺炎球菌ワクチンを接種
【例2】 高齢者肺炎球菌ワクチンを先に受ける場合
高齢者肺炎球菌ワクチン接種
↓ 2週間以上あける
新型コロナワクチン(ファイザー社製)1回目接種
↓ 3週間あける
新型コロナワクチン(ファイザー社製)2回目接種
いずれの場合も、新型コロナワクチン1回目と2回目の間には、高齢者肺炎球菌ワクチンを受けないように注意が必要です。
参考:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施状況」(PDF)
5.ワクチン接種を受けることができない人、注意が必要な人
16歳以上の方でも、下記の条件に当てはまる方はワクチン接種を受けることができないのでご注意ください。
≪ワクチン接種を受けることができない人≫
・明らかに発熱している人(※1)
・重い急性疾患にかかっている人
・本ワクチンの成分に対し重度の過敏症(※2)の既往歴のある人
・上記以外で、予防接種を受けることが不適当な状態にある人
(※1)明らかな発熱とは通常37.5℃以上を指します。ただし、37.5℃を下回る場合も平時の体温を鑑みて発熱と判断される場合はこの限りではありません。
(※2)アナフィラキシーや、全身性の皮膚・粘膜症状、喘鳴、呼吸困難、頻脈、血圧低下等、アナフィラキシーを疑わせる複数の症状。
≪注意が必要な人≫
・抗凝固療法を受けている人、血小板減少症または凝固障害(血友病など)のある人
・過去に免疫不全の診断を受けた人、近親者に先天性免疫不全症の方がいる人
・心臓、腎臓、肝臓、血液疾患や発育障害などの基礎疾患のある人
・過去に予防接種を受けて、接種2日以内に発熱や全身性の発疹などのアレルギーが疑われる症状がでた人
・過去にけいれんを起こしたことがある人
・本ワクチンの成分(※)に対して、アレルギーが起こるおそれがある人
妊娠中、又は妊娠している可能性がある人、授乳されている人は、接種前の診察時に必ず医師へ伝えてください。
【※ワクチンの成分】
▷有効成分
・トジナメラン(ヒトの細胞膜に結合する働きを持つスパイクタンパク質の全長体をコードするmRNA
▷添加物
・ALC-0315:[(4-ヒドロキシブチル)アザンジイル]ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカン酸エステル)
・ALC-0159:2-[(ポリエチレングリコール)-2000]-N,N-ジテトラデシルアセトアミド
・DSPC:1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン
・コレステロール
・塩化カリウム
・リン酸二水素カリウム
・塩化ナトリウム
・リン酸水素ナトリウム二水和物
・精製白糖
参考:厚生労働省「新型コロナワクチン予防接種についての説明書」(PDF)
参考:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン説明書コミナティ筋注(PDF)
本ワクチンはポリエチレングリコール(PEG)を含有しており、ポリエチレングリコール(PEG)に反応する方もいらっしゃいます。
本ワクチンには含有されていませんが、ポリソルベートに重度の過敏症がある場合、ポリエチレングリコール(PEG)にも重度の過敏症を示す可能性があるとのこと。
ポリエチレングリコール(PEG)や、ポリソルベートに重度の過敏症が認められた方は接種しないことをお勧めします。
また軽度、中等度の過敏症の場合は医師にご相談ください。
6.ワクチン接種までの流れ
一般の方へのワクチン接種は、基本的には以下の流れを参考にしてください。
▼ワクチン接種の流れ
➀ 「接種券(クーポン券)」と「新型コロナワクチン接種のお知らせ」が届きます。
② 厚生労働省「ワクチンナビ」から医療機関や接種会場をお探しください。
③ 電話やインターネットで予約をしてください。
④ 予約日当日、接種会場でワクチンを受けてください(1回目の接種)。
⑤ ①~③と同じ流れで2回目のワクチン接種の予約をしてください。
※「コロナワクチンナビ」とは?
厚生労働省が運営する新型コロナワクチンの総合案内サイトです。
接種会場を探したり、どうやって接種を受けるかなどの情報を得ることが出来ます。
※「ワクチンナビ」のトップページ
新型コロナワクチンに関する自治体ごとの公式ページは下記の通りです。
7.ファイザー社製ワクチンとは?
ワクチンには、様々な種類がありますが今回、新型コロナウイルスのワクチンとして開発されたものはmRNAワクチンという新しいワクチンです。
mRNAとは、メッセンジャーRNAの略で、たんぱく質を作るための設計図です。
日本国内で現在使用されているワクチンは、ファイザー社製のワクチン。
新型コロナウイルスの一部のmRNAを特殊なコーティングで包み、筋肉注射により体内に注入します。
人の細胞内に入ることにより、新型コロナウイルスのタンパク質の一部が作られます。
そのタンパク質をヒト免疫細胞が異物と認識して、免疫ができるというものです。
参考:国立国際医療研究センター病院「新型コロナワクチンについて」
参考:厚生労働省「ファイザー社の新型コロナワクチンについて」
mRNAワクチンのメリットは、ウイルスの一部のタンパク質を作るDNAやRNAを合成するため、大量合成が容易であること。
デメリットは、これまで人間で実用化された例はなかったため、副反応等が未知数であることです。副反応については次章で詳しくお伝えします。
効果の持続期間については、
臨床試験や各国で接種が始まってから時間があまり経過していないことから、アメリカのCDC(疾病対策センター)も長期にわたって効果が続くかどうか、さらにデータが必要だとしています。
こうしたことからCDCを始め専門家は、ワクチンを接種したとしても実際の社会での効果が確認されるまで時間がかかると予想しています。
当面はマスクの着用や消毒、3密を避けるなどといった対策を続ける必要があるでしょう。
ファイザー社製ワクチン以外にもアストラゼネカ社、モデルナ社の新型コロナワクチンの申請が進んでいます。
ワクチンの効果や副反応などは各メーカーごとに違いがあるようですので、ご自身が接種するメーカーのワクチンについては情報を収集することをおすすめします。
8.副反応とは?
副反応とはワクチン接種後に出る好ましくない症状のこと。
副反応の多くは接種部位の痛みや赤い腫れ、微熱であり、症状は1~3日程度でおさまりますが、まれに重篤な副反応が起こることもあります。
新型コロナウイルスのワクチンに関する副反応については、厚生労働省の研究結果が公開されています。
研究班は、米ファイザー製新型コロナウイルスワクチンを先行接種した医療従事者約2万人を対象に副反応調査を実施しました。
結果をまとめた「健康観察日誌集計の中間報告(4月30日)」によると、
1回目・2回目接種後の、疼痛・頭痛・発熱などの頻度の比較などが報告されました。
調査対象者の一部のデータを中間的に集計したものですので、今後、数値が変わることがあります。
【年齢、性別、職業の割合】
・年齢は、20代から50代がそれぞれ21-25%、60歳以上が8.7%
・性別は、男性33.8%、女性66.2%
・職業は、医師16.7%、看護師46.6%
【副反応の結果】
接種後8日目以降に回収した1回目接種19,157例(全体の96.7%)および
2回目接種17,838例(90.1%) の健康観察日誌から、以下の副反応が見られました。
●1回目接種後の発熱(37.5℃以上)は3.3%であったが、2回目は38.4%と高率であった。
●発熱する場合は翌日が多く、接種3日目には解熱した。
●接種部位の疼痛は90%を超える被接種者が自覚し、接種翌日が最も頻度が高かった。接種3日後には軽快した。
●1回目に比べ、2回目接種では接種翌日に頭痛(5割)、全身倦怠感(7割)を自覚した。
●年齢および性別によって、副反応の発現頻度は異なり、若年者・女性が高かった。
●65歳以上(522例)では発熱9%、全身倦怠感38%、頭痛20%であったが、接種部位疼痛は80%であった。
●2009年のH1N1pdmインフルエンザワクチンNHO 2万人調査と比較すると、
コミナティ筋注は接種部位の疼痛の頻度が明らかに高く、2回目接種後の37.5℃以上の発熱(4割)、頭痛(5割)、全身倦怠感(7割)を認めた。
副反応について更に詳しい内容は下記を参考にしてください。
参考:厚生労働省「新型コロナワクチンの接種後の健康状況調査」
参考:厚生労働省「新型コロナワクチンの副反応疑い報告について」
また、比較的早い段階で発言した副反応以外にも長期的な経過観察が重要だと言われています。
新型コロナワクチンは人類に初めて投与するワクチンですので、異変がすぐに起こるとは限りません。
10年後、20年後に重大な被害が起こる可能性もゼロではないでしょう。
9.副反応への救済制度
万が一、ワクチンの接種によって健康被害が生じた場合どうすればよいのでしょうか?
日本では、救済する制度が用意されています。
定期接種の場合は、予防接種法に基づいて医療費が支払われる予防接種健康被害救済制度というものがあります。
これは、予防接種によっておこったものでないと否定されない限り、補償を受けることができます。
10.まとめ
ワクチンの話題がメディアで取り上げられると、ワクチン接種がコロナ収束の救世主のように捉えてしまいがちになります。
確かにワクチン接種は発症予防の大きな手段の一つであることに違いはありませんが、ウイルスの感染予防(他の人に感染させない効果)があるかどうかは、はっきりわかっていないようです。
ワクチンによって症状が出るのを抑えられたとしても、ウイルスに感染している可能性はあり、対策を取らないとまわりに感染を広げてしまうおそれがあります。
また、ワクチンは各国で接種が始まってから長くは経っておらず、アメリカのCDC(疾病対策センター)も長期にわたって効果が続くかどうか、さらにデータが必要だとしています。
このことから、ワクチン接種は新型コロナの収束に一定の効果は期待できますが、
定期的な除菌等、日常生活での基本的な衛生管理は継続する必要があると言えます。
プロによる定期的な除菌について詳しくは、こちらを参考にしてください。
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